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MastercardがASEAN初のAIエージェント認証決済を開始、2027年には全取引の半数に到達予測

シンガポール・マレーシアで先行展開、McKinseyは2030年に3〜5兆ドル市場と予測

山本 浩二|2026.04.09|5|更新: 2026.04.09

Mastercardがシンガポールとマレーシアでエージェント決済(AIエージェントによる自律的取引)の実証実験を開始。McKinseyは2030年までにAIエージェントが3〜5兆ドルの世界商取引を促進すると予測。Visaの調査では米国企業の53%がAIエージェント間での価格交渉を許可すると回答。

Key Points

Business Impact

Eコマース事業者は今すぐShopify Catalogなどを通じてAIプラットフォームでの商品発見性を高め、エージェント決済に対応したシステム構築を検討すべき。AIエージェントが推奨する商品に選ばれるためのSEO対策と在庫管理の自動化が急務となる。

MastercardがASEAN初のAIエージェント認証決済を開始、2027年には全取引の半数に到達予測

Mastercard、ASEAN初のAIエージェント認証決済を実用化

決済大手のMastercardは2026年4月、シンガポールとマレーシアでAIエージェントによる認証決済システム「Agent Pay」の実証実験を開始したと発表した。これはASEAN地域で初となるエージェント決済の実用化事例となる。システムでは、AIエージェントが消費者の代理として商品を閲覧、比較し、ユーザーが定義した目標と権限に基づいて自動的に決済を実行する。

MastercardのSafdar Khan東南アジア地区責任者は「複数の市場で初期パイロットが稼働しており、AIエージェントが責任を持って透明性を保ちながら動作できることを実証している」と述べた。同社は2026年後半にシンガポールでAI専門センターを設立し、アジア太平洋地域最大のイノベーション拠点とする計画だ。

Googleと共同開発の「Verifiable Intent」が信頼性を確保

エージェント決済の最大の課題である信頼性とセキュリティを解決するため、MastercardはGoogleと共同で「Verifiable Intent」技術を開発した。この技術は、AIエージェントがユーザーの代理で行動する際に、ユーザーが何を認証したかを改ざん不可能な形で記録する新しい信頼パラダイムを提供する。

システムはトークン化された認証情報、検証可能な意図、エンドツーエンドの監査可能性を組み合わせることで、AI主導の全ての取引がユーザーの認証と信頼への期待に沿ったものとなることを保証する。これにより消費者、販売者、発行者が共通の真実の源泉として依拠できるエコシステムが構築される。

McKinseyが予測する3〜5兆ドルの巨大市場

コンサルティング大手McKinseyの調査によると、AIエージェントが促進する世界商取引規模は2030年までに3〜5兆ドルに達する見込みだ。エージェント・コマース(AIエージェントによる自律的なショッピング)と呼ばれるこの市場は急速に拡大しており、2027年には全オンライン取引の半数をAIエージェントが処理すると予測されている。

Shopifyの分析では、同社のShopify Catalogを通じて商品データが自動的にChatGPT、Gemini、Google AI ModeなどのAIプラットフォームと共有されており、オンライン小売業者にとってエージェント・コマースは購入準備の整った顧客にリーチする新たなチャネルとなっている。現在、多くのEコマース事業者はシステムの大幅な見直しを行うことなく、AIショッピングとエージェント・コマースに対応できる状況にある。

米国企業の過半数がAIエージェント間取引を受容

Visaが2026年1月29日から2月6日にかけて実施した米国成人2,000名と企業意思決定者512名を対象とした調査では、エージェント決済に対する企業の受容度の高さが明らかになった。米国企業の53%がAIエージェント同士による価格や条件の直接交渉を許可すると回答し、71%がAIエージェント向けに商品、オファー、体験を最適化する意向を示した。

さらに注目すべきは、77%の企業が既にAIを運用に活用またはパイロット導入している点だ。88%の企業回答者はAIエージェント同士の直接交渉を許可し、55%は既にB2AI(Business-to-AI)コマースの概念に精通していると回答した。VisaのFrank Cooper III最高マーケティング責任者は「コマースは市場対人間から市場対機械へと移行している」と分析している。

世代別に大きく異なるAIエージェントへの信頼度

消費者のAIショッピング・エージェントに対する信頼は、金融機関が関与することで大幅に向上することが判明した。銀行支援のAIシステムを信頼するのは36%、決済ネットワーク対応AIは35%である一方、独立系AIエージェントを信頼するのはわずか28%に留まった。

世代間格差も顕著で、Gen Z世代の48%が決済ネットワーク対応AIシステムを信頼すると回答したのに対し、ベビーブーマー世代では20%に過ぎなかった。AIショッピング・アシスタントを利用するGen ZとMillennial世代の約半数が、AI推奨により従来なら検討しなかった商品を購入した経験があると報告している。旅行業界では既に56%の米国旅行者が旅行計画の一部でAIを活用しており、これは1年前の33%から大幅に増加している。

食品流通業界でもエージェントAI活用が加速

食品流通分野では、PepperがエージェントAIを活用した包括的なプラットフォームを構築している。同社は5,000万ドルの資金調達を実施し、EメールやPDF、音声メッセージで受信した注文を自動的にERP系統に取り込むAI搭載オーダーエージェントを開発した。延滞請求書の督促から販売代表者への解約シグナルや優先アカウントへのアップセル提案まで、エージェント支援機能を順次導入している。

風刺画: MastercardがASEAN初のAIエージェント認証決済を開始、2027年には全取引の半数に到達予測

Editorial Cartoon

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最終検証2026.04.09
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