予約制廃止で来園者数が急激に増加
2026年夏季シーズンから、米国立公園局(NPS)はヨセミテ、アーチーズ、グレイシャー国立公園で実施していた車両入園の事前予約制を廃止した。この決定により、ヨセミテ国立公園では来園者数が大幅に増加している。SFGateによると、3月の来園者数は225,817人に達し、前年同月の155,758人から約45%増加した。これは2016年以来最多の記録となっている。
NPSは2月の発表で「包括的な評価」の結果として予約制廃止を決定したと説明している。ヨセミテ国立公園のレイ・マクパデン園長は「訪問者のアクセス、安全性、資源保護にコミットしており、優れた訪問体験を確保するため積極的な交通管理戦略を継続する」と述べていた。しかし、シーズン全体の予約制は「来るシーズンにとって最も効果的なアプローチではない」とデータが示したとしている。
メモリアルデー週末に発生した深刻な混雑
予約制廃止後初の大型連休となったメモリアルデー週末には、深刻な混雑状況が発生した。来園者のアンドラニク・アラケリャン氏は「入園まで最低1時間半待った」と証言している。また、別の来園者ジョン・リアスコフ氏は「午前7時30分には園内全体で駐車する場所がなくなった」と述べている。
混雑により駐車場不足が深刻化し、多数の車両が草地や舗装外に違法駐車する事態が発生した。保護活動家で作家のベス・プラット氏は「人々が草地に乗り入れ、舗装を外れ、オフロード走行している。園内循環シャトルの待ち行列も動画で見る限り酷い状況だった」と状況を説明している。リアスコフ氏は園内の状況を「肩と肩がぶつかり合う状態で、多くの混乱、多くの怒った人々、多くの無自覚な人々がいた」と表現している。
交通管理の限界が露呈
NPSは予約制に代わる交通管理措置を講じるとしているが、実際の効果は限定的となっている。中央シエラ環境資源センターのジョン・バックリー代表は「特に土曜日、時には金曜日と日曜日にも、園内の混雑は駐車場の収容能力を超え、道路沿いのあらゆる場所に車両が不適切に駐車され、訪問者が窮屈に押し合う体験となっている」と述べている。訪問者のクナル・カンドワラ氏は駐車場を見つけるのに苦労した後、シャトルサービスについて「待ち時間は異常だ」とロサンゼルス・タイムズに語っている。
環境保護団体からの強い懸念
アメリカ国立公園保護連盟のエミリー・トンプソン代表は、2月18日の声明で「適切に管理されなければ、無制限の車両と人々が公園を圧倒する」と警告していた。同氏は「大群衆は脆弱な生態系に害を与え、野生動物を危険にさらし、公園の緊急時対応能力を危険にさらし、最近の深刻なスタッフ削減により既に過重労働状態の職員をさらに限界まで追い詰める可能性がある」と述べている。
中央シエラ環境資源センターのバックリー代表は「車両数や人数に制限がなければ、圧倒されることになる」と指摘し、この決定が観光収入には有益かもしれないが、公園環境には害をもたらすと主張している。同氏はまた「最良のアクセシビリティは、車両数が駐車場の収容量や道路容量とバランスが取れた、管理された公園状況にある」と持論を展開している。
既存の予約システムの効果
環境保護活動家らは、以前の予約システムがより効果的に群衆をコントロールしていたと主張している。バックリー代表は前システムについて「車両数、人数の制限がある時は、圧倒されることはなかった」と評価している。一方でNPSの広報担当者はフォックス・ニュース・デジタルに対し、最近の混雑問題の報告は「現在の公園運営の正確な特徴づけではない」と反論している。
国立公園の費用負担増加も課題に
混雑問題と並行して、国立公園での活動費用も上昇している。最新の調査によると、キャンプ利用者にとって最も費用のかかる国立公園はワイオミング州のグランドティートン国立公園で週末費用が439ドル、ヨセミテ国立公園は349ドルで8位となっている。この調査は、テントキャンプ料金、入園・許可証費用、食事・飲み物、薪・氷・燃料などの必需品、人気アウトドア活動の平均日額費用に基づいてランキングを作成している。
特にカリフォルニア州のジョシュア・ツリー国立公園では、フルデイ自転車レンタルまたは1時間の乗馬セッションが150ドルと、活動費用が最も高額となっている。一方、テネシー州とノースカロライナ州にまたがるグレートスモーキーマウンテンズ国立公園では、フルデイ自転車レンタルが40ドルと最も安価で、メイン州のアカディア国立公園では1時間の乗馬が48ドルと最低価格を提供している。
オーバーツーリズム問題の世界的な視点
アメリカの国立公園で発生している問題は、世界的なオーバーツーリズム問題の一環でもある。旅行業界の専門誌Skiftの分析によると、持続可能な観光に関する標準的な解決策(プロモーション削減、来訪者の地理的分散、短期レンタル規制、量から収益性への転換)は、主に裕福な目的地向けに設計されている。
アイスランドは1人当たりGDPが85,000ドル以上で、漁業やアルミニウム精錬業があるため観光プロモーションを控えることができるが、経済が観光に大きく依存する地域では同様の措置を取ることは困難だと指摘されている。この格差は、オーバーツーリズム対策において経済的現実を考慮する必要性を浮き彫りにしている。現行戦略はしばしば住宅圧迫や文化的損失などの観光負担を、それを負担する能力が最も低い人々に転嫁する一方で、経済的利益の多くは他所に流れているという構造的問題が存在する。



